人工内耳は本当に必要なのか。難聴として生まれたのだから自然のままに育てるべき?手術失敗したらどうする?手術してうまく使いこなせなかったら?
こんな考えがグルグル頭の中を回っていました。子どものこととなると決断力が鈍る。。ダメなことだけど、誰かに背中を押してもらえたら楽なのに…なんてことも頭を過りました。
前置きとして、息子は高度難聴で補聴器は効果が十分に得られないタイプの難聴なので、選択肢としては補聴器+手話or人工内耳という選択肢でした。
人工内耳を決断するまで
人工内耳を迷っていた理由として
- ・人工内耳を装着して成長した大人が身近にいないため、「わからない」を解消できない
- ・情報量・知識のないことに対する不安
- ・手術が失敗したら、うまく使えなかったら…という不安
通っていた病院が独特過ぎて地域がばれちゃうかもしれませんが、病院はほとんど情報をくれませんでした。自分でネットワークを開拓し、情報収集や勉強に積極的な親でないと人工内耳手術はしませんというスタンス。耳の構造から何から、知識と言えるものすべてが診察時のテストの様なものでした。
なので、診察前の待合室で親同士が初対面でも連絡先を交換し合い情報交換をするという…必死ですよ。
以前ブログでも書いたように、人工内耳の歴史は本当に浅いのです。保険適用になったのが平成6年ですので、それ以前は400万円の手術を実費となり限られた人にしか受けられない手術だったのではと思います。さらに、保険適用になっても3歳以上という条件が付いていたりと今とは大きく違いますので参考にするにはそのあたりも考慮しなければなりません。
人工内耳を装着して大人になった人が周りにいないのは仕方ないなと思いました。なので、人工内耳を装着している子どもたちやその両親から情報収集をしなければなりません。また、調べてみると人工内耳に関する研修会も各地で行われているため、自分や子どもの発達状況に合った研修会などに参加してみるのもお勧めです。
このようにして情報量の足りなさを解消するようにしてきました。
最後の『手術に失敗したら、うまく使えなかったら、、、』についてです。自身の周りでも何人か人工内耳手術をしている子どもたちもいますし、聾学校でも聞いてみたところ手術に失敗したという例はありませんでした。信頼できる先生を選び、任せるといいと思います。
うまく使えるかどうかは、訓練次第と言われました。本当にその通りだなと思います。また、構造的なものなども考慮し判断するのであれば、CTなどに加えて遺伝子検査をすることをお勧めします。
人工内耳手術を決めた大きな理由
最も大きな理由が、親子のコミュニケーションが円滑にできないことでした。子どものやりたいことや求めてることは、親だからわかっちゃうんです。でも、親の伝えたいことを伝えるのが本当に難しい。
手話をするにも、1つの手話にいろんな意味が含まれていて手話初心者の健聴者からすると想像力や読解力がかなり必要です。手話のない言葉は指文字になりますので、伝えたいことが端的になったり詳しい表現などがうまく伝えられないというもどかしさを常に抱えていました。また、目が合わないと伝えることが難しいのでタイムリーにその話ができなかったりと不都合もたくさんありました。
このゆっくり指文字をやっている時間にも、絵本1冊読む間にも、もっともっと伝えたいこと、入れてあげられる言葉がたくさんある。そう感じることが積もり、人工内耳手術を決めました。周りの反対もありました。だけど、健聴夫婦がいくら手話を学んでも円滑にコミュニケーションを図るには限界も感じました。それをやってこなすご両親もいらっしゃいますし、努力不足と言われてしまうかもしれませんが。。
それと、手話で育てても人工内耳で育ててもいつかは健聴社会で生活していくことになります。そのため、コミュニケーションツールはより多いほうがいいと考えたからです。手話の世界でと括らず将来の選択肢をたくさん残しておくのもできることの一つと考えました。
人工内耳をしてよかったと思うこと
人工内耳には人工内耳なりの不便さは確かにあります。ですが、言葉の成長は心の成長と言われるように、大切に育てた言葉は豊富になっていると思います。成長に大切な今この時も、上手に言葉を操り、彼なりにのびのび育っていると思います。また、簡単ではないけれど進路の選択肢も広がりました。
私たちと息子には、人工内耳という選択肢は間違っていなかったと強く思います^^
同じ境遇の方ばかりではないかと思いますが、参考にできる箇所がありましたら嬉しく思います。